過ぎゆく日常という風景
- 2015年11月28日
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丁寧に暮らせば時間は無限で、これはそれを証明する風景の記録だ。
同居人は「いそげ、いそげ」と言いながら歯医者さんに出掛けて行った。ハイカットの黒いバスケットシューズの靴紐を結びながら彼はこっちを見て、「寒かったら、窓を閉めるんだよ」と私に言った。それから、「知らない人が来ても、ドアを開けないでね」とも言った。
この家の暮らしで覚えておくべきは、家中の植物に水をあげながら幸せそうな彼の姿だ。そして嬉しそうにサザエさんのテーマソングを歌っている姿も。彼は我が家の生き物係の班長である。
自宅の前から続く駅へと向かう住宅街の坂道を白いアパートメントの二階の窓辺から見ると、急足で歩く同居人の後ろ姿が見えた。深緑のマフラーをしてカーキ色のミリタリーコートを着ている痩せっぽちの同居人の姿がなんとなくこの先も忘れられないような気がする。

