夢三夜
- 鳥 今雄
- 2012年4月26日
- 読了時間: 2分
~第一の夢~
裸の夢だった
わたしは困っていて小さな部屋に隠れていた
通りかかった友人の誰かに洋服持ってきてくれと頼んだ
わたしは何か、大切なプロジェクトの当事者だったはずなのに?
たとえば、それはデモや野外集会のような
部屋の外から聴こえる群衆の騒音は
まるでコンクラーベのバチカン市国
わたしは膝を抱えながら、まだかまだかと洋服の到着を待っていた
おかしな夢だ
***
~第二の夢~
怒る女性
年配、メガネで髪の短い
E氏とわたしの二人で対応することになった
”アナタ達ハ、イツモ其レが無イッテ言ウジャナイッ”
”ドウナッテルノヨッ”
”ワタシ、怒ラレチャウジャナイッ”
”其レガ必要ナンダッテバッ”
その女性はこちらに噛み付かんばかりに迫ってくる
どうしたもんかと困まり顔のE氏
呆気にとられるわたし
年配女性は怒りのうちに、みるみる顔が膨らんでいく
目がガラス玉のように大きくなって
『ああこのヒトも宇宙人なのだな』と
わたしはそれが当たり前のことのように
宇宙人の存在を”理解”していた
おかしな夢だ
***
~第三の夢~
エメラルドグリーンの水の中をピューンと泳いでる
まるでピーターパンが空を飛んでいるように
情景は勢い良く後ろへすぎていく
呼吸は出来ていた
いやむしろ、呼吸は止まっているけれどそれで平気なようだった
超高速で進んでいるのに水の抵抗もない
ただピューンと飛ぶように
両腕を身体の脇にぴたりとくっつけて泳いでいる
飛ぶのに邪魔なものは一切無い、無駄のないフォームで
息切れするような邪魔もない、呼吸がないのだから
身体に乳酸が溜まり、怠くなる気配もなかった
あれは泳いでいたのか?
あれは海だったのか?
けれど水はそこにあるように
時折光りの反射で水の中という液体の全体が見え隠れしていた
そこには海藻はなくて、それに見合ったものとして木々が生えていた
文明めいたものはなかった
ピューンと飛ぶように進むわたしは
清々しい気分に包まれていたけれど、それは幸福に似たものではなく
むしろ爽快なシチュエーションの勢いに任せた興奮だった
本当の所は、
どんどん肥大していくような果てしない水の底の暗闇が気味悪く
たぶん終始緊張していたように思う
まったくおかしな夢だ