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夢三夜

~第一の夢~


裸の夢だった

わたしは困っていて小さな部屋に隠れていた

通りかかった友人の誰かに洋服持ってきてくれと頼んだ


わたしは何か、大切なプロジェクトの当事者だったはずなのに?

たとえば、それはデモや野外集会のような

部屋の外から聴こえる群衆の騒音は

まるでコンクラーベのバチカン市国

わたしは膝を抱えながら、まだかまだかと洋服の到着を待っていた


おかしな夢だ



***



~第二の夢~

怒る女性

年配、メガネで髪の短い

E氏とわたしの二人で対応することになった


”アナタ達ハ、イツモ其レが無イッテ言ウジャナイッ”

”ドウナッテルノヨッ”

”ワタシ、怒ラレチャウジャナイッ”

”其レガ必要ナンダッテバッ”

その女性はこちらに噛み付かんばかりに迫ってくる


どうしたもんかと困まり顔のE氏

呆気にとられるわたし


年配女性は怒りのうちに、みるみる顔が膨らんでいく

目がガラス玉のように大きくなって

『ああこのヒトも宇宙人なのだな』と

わたしはそれが当たり前のことのように

宇宙人の存在を”理解”していた


おかしな夢だ



***



~第三の夢~


エメラルドグリーンの水の中をピューンと泳いでる

まるでピーターパンが空を飛んでいるように

情景は勢い良く後ろへすぎていく

呼吸は出来ていた

いやむしろ、呼吸は止まっているけれどそれで平気なようだった

超高速で進んでいるのに水の抵抗もない

ただピューンと飛ぶように

両腕を身体の脇にぴたりとくっつけて泳いでいる

飛ぶのに邪魔なものは一切無い、無駄のないフォームで

息切れするような邪魔もない、呼吸がないのだから

身体に乳酸が溜まり、怠くなる気配もなかった


あれは泳いでいたのか?

あれは海だったのか?


けれど水はそこにあるように

時折光りの反射で水の中という液体の全体が見え隠れしていた

そこには海藻はなくて、それに見合ったものとして木々が生えていた

文明めいたものはなかった


ピューンと飛ぶように進むわたしは

清々しい気分に包まれていたけれど、それは幸福に似たものではなく

むしろ爽快なシチュエーションの勢いに任せた興奮だった

本当の所は、

どんどん肥大していくような果てしない水の底の暗闇が気味悪く

たぶん終始緊張していたように思う


まったくおかしな夢だ

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筆者について

2010年に当サイトをひっそりと始めました。思えば幼い頃から感情や記憶を気にしていました。そして、十五歳の頃に言葉や物語について考え始めました。

 
 
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