散歩の口実
- 鳥 今雄
- 2014年1月10日
- 読了時間: 2分
更新日:5 日前

六時三十分起床。今朝は朝から面倒な用事を済ませてしまいたかったので、朝の家事を一通りやった後、早々に身支度をして出掛けた。自分だけの都合で動ける類いの用事は好きだ。散歩の口実になるからだと思う。一日に十四時間以上も働いていた少し昔には、こういう楽しみを知らなかったが、三十代を目前にして、心地よく暮らしていく為の、自分にあった働き方や時間の使い方を考えはじめてから、用事をこなす楽しさに目覚めたような気がする。
素敵だなと思う人に三十代以上の人たちが多いのも、こういう所に答えがあるのだろうか。彼らに質問すると、決まって二十代の過去を恥ずかしそうに話しながら笑っている。それぞれに赤面するような失敗を重ねながら、我武者らに自分の道を突き進み、若さの勢いに任せた恋愛を楽しんだのだろうか。わたしが過ごした二十代のように。
三十代に入り彼らはそれぞれのペースを調節しながら、自分らしく楽しむことにエネルギーを注ぎ出したのだと思う。そして『自分らしい』という基準を計れる定規は、自分自身しか持っていないのだ。だから、自分の心と身体と脳みそを頼りにするしかないのだ。
そうしていくうちに、ようやく大人の人生が始まるのかもしれない。
わたしも最近になって、自分に必要なものと必要じゃないものへの理解が、また少し増えたように思う。大人の階段を登っているんだろうか。そんなことを考えていたら、今日は半日も散歩をして過ごす一日になった。